古山

カウンセラー古山あかりさんに取材しました

カウンセリングってどんなことをやるの?……その疑問はカウンセラーの方に直接聞くのがいちばん。

ということでMentallyの編集部では、臨床心理士の古山あかりさんにカウンセリングの仕方や、心の悩みを抱えないためのアドバイスなどを聞いてきました。他では聞けない「かなり具体的な話」です。是非、最後までお読みください。

古山 あかり さん (臨床心理士/公認心理師)

1冊の本がきっかけでカウンセラーになった

読書

編集者

カウンセラーをはじめたきっかけを教えてください。

古山さん

今思えば……子供の頃から「人間ってなんなんだろう?」と考える癖があったのですが、決め手は高校生のときでしたね。仲の良い友人が心理学の河合隼雄先生の本を貸してくれたんです。その本で心理学に興味を持ち、大学では心理学科に進学しました。

編集者

古山さんの元には、どのような相談を寄せられることが多いのでしょうか?

古山さん

もちろん人それぞれさまざまな悩みをお持ちなのですが、家族やパートナーとの関係を相談される方が多いです。

感受性が豊かだからこそ抱える悩みも多い

編集者

それは仲が悪い、とかですか?

古山さん

もちろん不仲の相談もありますが、家族やパートナーが問題を抱えていて困っている。そんな相談もあります。そのような相談を寄せられるのは、主に主婦や会社員の方ですね。

他には、経営者や表現活動をする方、芸術家、アスリートたちから悩みを寄せられる機会も多いです。

編集者

成功者のように見えますが……彼らも彼らで悩みを抱えているんですね

古山さん

たとえば、芸術家の方たちは感受性が豊かだからこそ気持ちが安定しづらいようです。あがり症の役者さんもいますし、どんな人でも悩みを抱えているんだなぁと、この仕事をしているとつくづく思いますね。

あとは人前に出る機会が多い分、傷つく体験も多くされているのかもしれませんね。成功者の多くは本当にたくさんの苦労や苦悩を感じていらっしゃることは間違いないのではないでしょうか。

相手を変えるのではなく自分を変える

チャンス

編集者

具体的には、どのようなカウンセリングをすることが多いのですか?

古山さん

先ほどお話しした家族の悩みだったら、相手を変えようとしても変わらない、変えようとすること自体が悩みを生むことでもあることに気づいていくステップを踏みます。

相手が変わらなくても自分が変わったり、物事の捉え方が変わることで解消できる問題はいくつもあるんですよ。どんなお悩みも細かく理解して、見方を変えることで、自分自身で答えを見つける方もいらっしゃいます。

あとは、自分自身をよく知ってもらうことですね。自己理解を深めて、自分の性格や行動の傾向を知ると、自分自身を受け入れられます。実は、これだけで問題が改善される人も少なくありません。

3〜4割の方は1回のカウンセリングで問題を解決

編集者

えっ、その場合、1回のカウンセリングで気持ちが楽になるってことですよね

古山さん

そうですね。あくまで目安にしかならないと思いますけど、全体の3〜4割の方はたった1回のカウンセリングで、抱えている問題を解消できます。

編集者

自己理解だけでは解消しなかった方には、どのようなカウンセリングを行うのでしょうか?

古山さん

主にブレインスポッティングというトラウマ記憶を再処理するセラピーを用います。実はトラウマは常に新鮮な記憶であり続けるんですよ。

人は誰でも大きなショックを受けたり、傷ついたりする体験をしたことがあると思います。もちろんをそれを自分で乗り越えていく方もたくさんいらっしゃいますが、一方でそのような体験をご本人はもう昔のことと思っていてもトラウマ体験として脳の奥にしまい込んでしまっている人は大勢います。

そのトラウマが現在抱えている問題と関わりがあるケースも多いので、トラウマ記憶の再処理に一緒に取り組むことをカウンセリングで行うんです。

来たときより帰るときのほうが元気になってもらえるように考えています

古山

編集者

古山さんが、カウンセリング中に心がけていることはなんですか?

古山さん

デリケートの話なので、「環境づくり」と「関係づくり」は常に心がけていますね。あとは、カウンセリングに来られる方が、私のところに来た時よりも帰るときのほうが元気になっているように、考えています。

編集者

カウンセリングを頼られる方に特徴があれば教えてください

古山さん

性別はほとんど半々です。世代だと20〜40代の方が多いですね。

編集者

職業などに特徴はありますか?

古山さん

主婦の方や会社員の方が、だいたい3割くらいですね。残りの7割は、さきほど言ったような経営者のような集団を率いる方、表現活動をする方、芸術家、アスリートといった個人で活動されている方です。

心の悩みを抱えやすい人の特徴

ひとり

編集者

職業の話とつながりそうですが……心の悩みを抱えやすい方に特徴はあるのでしょうか?

古山さん

いちばん多いのは、完璧主義の方です。どうしてもゼロか100かになりやすくて、100じゃない自分が許せないようです。たとえば、100のうち99できているのに、残りの1ができないだけで自分を責めてしまう人もいます。

他には、一生懸命で責任感が強く真面目な方や、自己犠牲の気持ちが強い方も心の悩みを抱えやすいですね。

理想と現実のギャップに悩む人は多い

編集者

自己犠牲の気持ちとは、どのようなものですか?

古山さん

「誰かのために何かをやってあげなきゃ」と考えてしまう方です。ただ、その何かをやってあげられないことも多く、自分を責めてしまいます。

完璧主義や真面目な方にも通じる話ですが、頭で考えていることと現実とのギャップが大きな人ほど、心の悩みを抱えやすい傾向がありますね。

悩みが具体的なら、すぐに改善する可能性は高い

気球

編集者

改善までにかかる期間を教えてください。

古山さん

先ほども言ったように、3〜4割の方は1回で解決します。残りの方は何回か通っていただきますが、私はだいたい5回区切りで考えています。

ただ、心の悩みが完全になくなるのではなく、付き合っていける程度まで悩みを軽減すると考えていただくほうが健康的ではないかなと思っています。

編集者

なるほど。ちなみに、1回で解決する悩みと長期的なカウンセリングが必要な悩みの差はなんでしょう?

古山さん

悩みが具体的かどうか、ですね。何に悩んでいるのか……これが具体的であればあるほど、短期での問題解消に期待できます。

辛くならないように普段から心がけて欲しいこと

編集者

なるべく心の悩みを抱えないように、普段からできることがあれば教えてください。

古山さん

悩むこと自体は悪くないんですよ。これは、みなさんにきちんと知っておいて欲しいです。ただ、悩むことで自分が辛いのなら誰かに話をしてみてください。誰にも言えない悩みなのなら文字に残しておくのが良いです。

誰かに話したり、文字にしたりすれば、ぼんやりとした悩みではなくハッキリとした悩みになるでしょう?そうすると、抱え込みすぎることが減るんです。

編集者

なるほど。先ほどの、悩みが具体的だと改善しやすいという話につながるんですね。

カウンセリングを受けようと思えるのはメンタルが強い証拠

ハート

編集者

カウンセリングを受けようか迷っている方に向けて一言アドバイスをお願いします。

古山さん

既にカウンセリングを受けている人に対して「弱い人」とか「メンタルを病んでいる人」という印象を持ちやすいかもしれませんが、実際は逆です。

カウンセリングを受けている人は、現実と向き合い、悩みを乗り越えようとしているメンタルが強い人ですよ。行動力があるのですから。今後も前を向き、生きていける人です。

今、迷っているのであれば、それは「現実を変えようとしている」ということでしょう。それなら、あと一歩だけ踏み出してみてください。そうすれば自分を変えられます

編集部

今回は貴重なお話、ありがとうございました。

古山さんのカウンセリングへのお問合せ

古山さんのカウンセリングは、HanacelのHPから予約が取れます。初回の予約は対面でのカウンセリングなら5日前まで、オンラインでのカウンセリングなら3日前までに、お申し込みください。

また、classmallというサイトで心理学のレッスンも行っているそうです。心の悩みを抱えている人が、自分自身で「大人の習い事としての心理学」を学ぶのも良いのではないでしょうか。気になった方はチェックしてみてください。

この記事の著者

Mentally 編集部
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