「自分に自信がありますか?」と聞かれ、胸を張って「はい」と答えられる方はそう多くないでしょう。何故なら、私たちは常に他人からジャッジをされ続けているから。同じように、私たちも人をジャッジしながら生きています。
他人の目が気になるのは当然です。しかし、できれば自分に自信を持ちたい……そうではありませんか?
そこでこの記事では「マインドフルネス」の視点から自分に自信を持って生きていくためのヒントをお伝えします。
今、注目されているマインドフルネス

まずは、マインドフルネスとは何なのか、簡単に紹介します。
マインドフルネスとは瞑想などを主体とするもの。ストレス低減や能力開発などが科学的にも証明されたため、世界的に注目されているメンタルヘルス法です。企業単位で取り組んでいるところも少なくありません。現代を生きる我々のための心と脳のトレーニング法と考えると良いでしょう。
自分に自信がない人の特徴

さて、まずは自分に自信がない人の特徴を紹介しましょう。自分に自信を持てないとき、私達はどんな感覚になるのでしょうか?
たとえば、大勢の前で苦手な分野を発言しなければならないとき、きっとあなたは自分に自信を持つのは難しいでしょう。鼓動は速くなり、呼吸は乱れ、肩の力が入って、眉間にしわが寄り、顔はこわばっているかもしれません。自信が持てないときの私たちの身体は、このように顕著です。外見上にもわかりやすく表れてしまいます。
自信がないときの外見上の特徴は、以下のとおりです。
- 目線が下がる
- 猫背になる
- 肩に力が入る
- 人と目を合わせるのが難しい
- 声量がなく、語尾が弱くなる
いずれも、他者から見てもわかりやすい現象です。このような人が目の前にいたら、あなたも「自信がないのかな?」と相手を心配してしまうことでしょう。
常に自信がない人の特徴
先ほどの例は、瞬間的に自信を失っている人の特徴です。それとは別に、常に自分に自信がない。そういう人も一定数います。彼らには以下のような特徴があるので、ご覧ください。
- ネガティブになりがち
- 心配や不安を抱えやすい
- 他人の評価を必要以上に気にする
- 劣等感が強い
- 他者の意見に流され優柔不断
- 自己肯定感が低い
- 失敗を極度に怖れ行動力に欠ける
- 引っ込み思案になり経験不足になりがち
- 嫉妬心が強くない
- 些細なことでもストレスを強く感じやすい
自信がない原因:マインドフルネス的視点からみた改善策

それでは、自信が持てない原因はいったいなんでしょうか?
自信がない原因①:他者の目、評価を気にし過ぎている
先に述べたように、私たちは多かれ少なかれ、これまで培ってきた価値観によって自分や他者をジャッジしています。その価値判断の基準はさまざまです。時代や生まれ育った国や地域の文化、風土、育てられた環境、親や周りの人たちの考え方や価値観……これらに育まれてきました。
私たちは、個々の「色眼鏡」で世界を捉えています。それぞれ違う価値や評価の基準があるにも関わらず、他者からの見え方を必要以上に気にしてしまうのです。自分に自信が持てないと、どうふるまえば良いのか戸惑ってしまうでしょう。他人の顔色を必要以上にうかがってしまいます。
他者を気にする人のためのマインドフルネス
でも、同時に私達はこうも考えています。「自分に自信を持ちたい」「他者の目線をあまり気にしたくない」と。そこで、マインドフルネスです。
マインドフルネスでは、心や身体、周囲で起こっていることに対して「ジャッジをしない」捉え方を育みます。自分や他者へのジャッジから生まれる苦しみ解放される。そんな効果もあります。
自信がない原因②:完璧主義
理想を持てば持つほど、今の自分を「足りていない」と感じるでしょう。すると、自分に自信が持てず、決断力や行動力が鈍ります。失敗や恥をかくことに敏感にもなります。他者からの批判や指摘で傷つくことを怖れてしまうのです。
完璧主義の人のためのマインドフルネス
マインドフルネスを通じて目指すのは「良い・悪い」といった判断を手放すこと。そして、自身の全体性を受け入れることです。自分のありのままを受け入れる心が育まれ、たとえ恥をかき、失敗したとしても、心の回復力(レジリエンス)が育まれていきます。
「完璧でなくていい」「失敗しても大丈夫」……そう思えたら、ずいぶんと楽になりませんか?
自信がない原因③:自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は、自分の短所を受け入れられません。「短所を受け入れたくない」「他人に自分の短所を指摘されたくない」……そんな思いが強まれば強まるほど、自分への自信はなくなっていきます。
自己肯定感が低い人のためのマインドフルネス
マインドフルネスを通じて自己肯定感が高まれば、長所も短所も受け入れられるようになります。自分に対しての「思いやり」や「慈悲」も育まれます。自分を責めたり、裁いたりすることもなくなるでしょう。「どんな自分でも大丈夫」と自信や自分を大切にする心が培われていくのです。
自信を持ちたいのならマインドフルネス瞑想(ラベリング)

マインドフルネスは、瞑想を中心とした心と脳をトレーニングする方法です。前章で触れた「ジャッジをしない」「ありのままを受け容れる」「セルフコンパッション(自分への思いやり)」を育むためのラベリング瞑想をご紹介します。
ラベリング瞑想のやり方
- 安定した心地よく背筋が伸びる座り方で座ります(椅子に座っていただいても構いません)
- 軽く目を閉じるか、斜め下1~2m程先の床をやさしく眺めます
- 自然な呼吸に注意を向けます。鼻先に通る空気の流れあるいは吸う息によって膨らみ、吐く息によって縮むお腹や胸の動きに意識を向けます
- 呼吸から意識が離れてしまったら、意識が離れた理由をラベリングします。「音」「足のしびれ」「におい」と意識が離れた理由を言語化し、また自然な呼吸に意識を戻していきましょう。考え事をしている自分に気づいたら「~と、思った」と頭のなかで呟き、また自然な呼吸に意識を戻します。これを5〜15分程度続けます
この瞑想で重要なのはラベリングの正しさではありません。瞑想から意識がそれたことに「ジャッジをしない」と気づくことです。そしてどんなことを考えていても、どんな感情や感覚が湧きおこってきたとしても、「優しい眼差しをご自分に向け(思いやり)」てあげてください。どんな自分でも「ありのままを受け容れる」ことが何よりも大切です。
自分に起こっている思考や感情、感覚などを言語化し、客観的な視点を育むのがラベリング瞑想です。できれば、毎日続けてみてください。
ラベリング瞑想で「自分を信じる心」を手に入れよう

マインドフルネス瞑想を続けていけば、他者からの評価に惑わされにくくなります。どんな自分も信じられる……そんな心を育めるようになるでしょう。あなたが自分自身を心から信じられる。そんな日が訪れるのを、私も願っています。