あなたが今抱えている劣等感がどのようなものなのか、まずは簡単に診断してみましょう。以下の問いに答えてください。
劣等感診断

問:次の文章のうち、あなたが当てはまると感じるものは幾つありますか。
□人がうまくいっていると焦る
□物事を自分で決めると気持ちがざわざわする
□自分を責めることが多い
□他人を責めることが多い
□周りに受け入れられてないと感じることが少なくない
□相手に認められているかが常に気になる
□気が付くと自分を大きく見せている
□自慢話が多い
□人から軽んじられている気がする
□人といると疲れる
□何をやるにも他人の目が気になる
□他者の幸せを一緒に喜ぶことができる
これらの問いのうち、8個以上当てはまる場合……価値を決める基準が他者に明け渡されていたり、自分として居ることへの安心が減ったりしているなど、劣等感がマイナスの方向に働いていることが考えられます。
劣等感の正体を知る

劣等感を理解する上で重要な性質は、2つあります。まず、劣等感とは、比較により生まれるものであり、何かから何かを差し引いた「差」「隔たり」「距離」であること。
そしてもう1つが、劣等感の「感」とは「感じる」の「感」であることです。つまり、劣等感は物理的に存在するフィジカルなものでも、客観的に誰にでも当てはまる基準に照らし合わせたものでもありません。自分にはそう「感じる」自分にはそう「感じた」という主体的な「一個人の感情」です。

書籍『嫌われる勇気』で話題になったアドラー心理学によると、「感情」とは叶えたい目的があって自ら創り出したもの。つまり、あなたが劣等感を「感じる」時に存在しているのは……信じがたいかもしれませんが「私は足りていない」「私は不十分だ」「私は到達していない」という感情を得たいあなた自身なのです。
「差」を生み出す為に必要なもの
「足りていない」「不十分だ」「到達していない」という感情を実現させる為には、「差」として成り立つ、上位のものと下位のものを設定しなければなりません。
人は、今ここに居る自身こそを下位に設定します。例えば、自分に無いものと他者に在るもの、自分の最低と感じることと他者の最高に映ること、自分の理想に達していないものと理想に抱いていることなど、より「差」を生み出すことができる材料をわざわざ集めるのです。
そして、自分を低く位置づける蓄積が自信や自己肯定感、充足感をどんどん奪っていきます。
劣等感は自作。だから自分で変えることができる

このように劣等感の仕組みを知ると、劣等感とは自分が劣っていて相手が優れている事実があるのではなく、自分の都合の良いように(辻褄が合うように)創り出した自作のシナリオだと気づきます。自分で創り出しているものなら、当然、自分で創り変えることもできます。
劣等感を責める必要は無い
劣等感は、自分の目的を叶える為に生み出した感情です。嬉しい・悲しい・淋しいなどの感情自体に優劣がある訳でも正負がある訳でも無いように、劣等感にも優劣や正負はありません。
つまり、劣等感(感情)を抱くこと自体を責める必要は全くありません。そう理解した上で、これまで劣等感により自分をマイナスに引き下げていたエネルギーを、自分をプラスに引き上げるエネルギーへと換えていきましょう。
劣等感から自分の理想が分かる
あなたは劣等感を通して、自分の望まないものに気づけるでしょう。同時に、自分の望むものを知ることもできます。
例えば、「人見知りであることが劣等感」と感じたら、人見知りであることが望まない状態(自分が設定した下位)であり、逆に、人見知りがないことが理想の状態(自分が設定した上位)です。
また、「嫉妬をすることが劣等感」であったら、嫉妬をする状態が望まない状態(自分が設定した下位)であり、嫉妬することなく認め合うことが理想の状態(自分が設定した上位)です。
このように、劣等感は自分にとっての上位=理想を浮き彫りにするのです。
最後に

アルフレッド・アドラ-は、次のような言葉を残しています。
劣等を抱くこと自体は不健全ではない
劣等感をどう扱うかが問われているのだ
(アルフレッド・アドラー)
自分の望むものと望まないものが分かる、劣等感という感情。劣等感を責める材料に使うのではなく、自分が望むものに意識を向ける人生のチャンスとして、味方にしていってはどうでしょうか。
私たちを苦しめる劣等感は「客観的な事実」ではなく「主観的な解釈」です。
主観は、自分の手で選択可能です。
(アルフレッド・アドラー)