夕日

止まらないマイナス思考!改善のための5ステップ

この記事では、心の専門家である臨床心理士がマイナス思考改善のための5ステップをご紹介します。

  • マイナス思考・ネガティブ思考で、常に悩みがある
  • ポジティブになりたいと思っているが、方法が分からない

このような方に小さなヒントをお渡しできる内容です。

さて、この記事は10分ほどで読んでいただけます。“10分”と聞いて「しんどいなぁ」と感じた方はそっと閉じていただいて大丈夫。また読んでみようと思ったときに、帰ってきてもらえたら嬉しいです。この記事を読む10分が、あなたの心をふわりと軽くするきっかけになることを願っています。

ここから紹介するマイナス思考改善の5ステップは、私が臨床心理士・公認心理師として実際のカウンセリング場面でよく用いている事柄から厳選しての紹介です。わかりやすいように具体例も交えてお伝えしていきます。

マイナス思考改善step1:メリットを知る

女性

ひとは誰しも、自分にとって良いことは継続しやすく、嫌なことは継続しにくい傾向があります。たとえ過酷なトレーニングでも、その先に大会で優勝するという目標があれば、いまの苦難にも耐えられることでしょう。

逆に、いくら楽な作業でも、評価されず成果を出している実感も伴わなければ、もうやめたくなってしまうのも無理ありません。このことからもわかるように、“マイナス思考の改善は自分にとってメリットがある”と知るのは、改善とその効果の定着への第一歩となります。

マイナス思考が改善されると、あなたの心は安定します。「心が安定する」とは、どのような出来事・状況に対してもある程度のゆとりを持って対応できる精神状態のことです。心が安定することで、体調・生活・人間関係など、あらゆる面が好転するでしょう。

マイナス思考改善step2:マイナス思考が始まったら一旦停止

孤独

マイナス思考は一度始まるとあなたをどんどん負のループに誘い込み、居座るようになってしまいます。だから、マイナス思考が始まったら、一旦思考を停止させましょう。コツは無理に停止させようとしないこと。「止めなければ」と思えば思うほど、その考えに固執してしまう可能性があります。うまく気持ちを切り替えるには、以下の方法がおすすめです。

  • 時間の区切りを決める(3分タイマーをかける、マイナス思考は○時○分まで)
  • 場所や環境を変える(お手洗いに行く、散歩をする、15分寝る)
  • とにかく紙に書き出す(考えを頭の中に留めず外に出す、可視化して客観視する)

マイナス思考のこじらせを防ぐ効果が期待できます。

マイナス思考改善step3:マイナスと同じ数だけプラスを見つける

ハート

短所の裏は長所、長所と短所は紙一重、などと同じく、物事にはマイナスとプラスの両面があります。あなたがたくさんのマイナス思考を持っているなら、それと同じ数だけプラスが存在するはず。

こんな話をすると、「せっかくプラスを見つけても、同じだけマイナスがあるなんて……」「私はマイナスを全部消してしまいたいのに……」と悲しそうにおっしゃる方もいます。

そうですよね、プラスだけが見えたなら、毎日がハッピーの連続なのかもしれません。でも、物事にはプラスとマイナスの両方の面があることは、変えられません。マイナスの存在を知りながらもプラスにも目を向けることが、地に足の着いたマイナス思考改善法です。

具体的な方法は、マイナス思考を書き出してプラスに言い換えることです。「プラス面を引っ張り出す」「ツッコミを入れる」「ちょっと言い返してみる」と考えるとわかりやすいかもしれません。いくつか具体例を紹介します。

  • 私は容姿が悪い→おかげでメイクアイテムに詳しくなれた
  • 私なんて無能だ→無能と気づけるだけの能力は残ってる!
  • 私はバカだ→バカで何が悪い!今日も生きててエライだろ!

なんて具合に、ほんの少しのユーモアも取り入れてみましょう。

ただし、一人でこの作業を行うとどうしても視点が偏ってしまいます。協力してくれる相手がいるのなら、複数名で取り組むとより効果が期待できるでしょう。身近な人を頼ることに少し勇気のいる方は、臨床心理士・公認心理師のいる相談室を利用する方法もあります。

マイナス思考改善step4:“達成・突破”の具体的行動をとる

階段

マイナス思考の多くは、未来に対する漠然とした不安感がにじみ出たものです。

“不安”があれば、本能的に回避的な思考回路になるのはごく普通かもしれません。でも、 回避的な思考を続けていると「明日、遅刻したらどうしよう」とマイナス思考がグルグルめぐり、不安でなかなか眠れません。

これを、“達成・突破“という視点で捉えなおすと「明日、5時に起床するには何をすればいいか」と考え、20時までに準備を済ませ21時には就寝という目標達成の具体的な行動をすることができます。

「目標・目的を達成する」「不安を突破する」という視点で具体的な行動を検討し実行すること。これが、マイナス思考の改善に大いに役立ちます。

マイナス思考改善step5:ニュートラルな口癖を習慣化する

男女

あなたは「マイナス思考を改善する=プラス思考になろう」だと思っていませんか?

たしかに常にプラス思考になれれば、毎日が楽しくキラキラしているように思えるかもしれません。でも、物事にはプラスとマイナスの両方の面があり、現在マイナス思考の方がいきなりプラス思考になるのは困難です。だから、まずはニュートラル(中立・中間)の状態を目指すと良いでしょう。

たとえば、現在のマイナス思考を無理やりプラス思考に持っていこうとすると以下のような形になります。

  • マイナス思考「どうせ私なんて」→プラス思考「私なら絶対できる!」
  • マイナス思考「どうしよう、どうしよう」→プラス思考「大丈夫!絶対大丈夫!」

本心ではなくてもポジティブ発言をしていると、次第にポジティブな思考が定着していく。そのような説を否定はしません。しかし、これまで「どうせ私なんて」と考えていた方が、急に「私なら絶対できる!」と思い込むのは、少し無理があるでしょう。

だから、まずはマイナス思考をニュートラルな思考へと変えられるように、意識していきませんか?現在のマイナス思考をニュートラル思考に持っていこうとすると、以下のような形になります。

  • 「どうせ私なんて」→「できるかどうか分からないけど、私もやるだけやってみよう」
  • 「どうしよう、どうしよう」→「まあ、いっか……」「なんとかなるかな」

このくらいなら多くの方が抵抗なく実践できるのではないでしょうか。このように気軽な口癖から始めて、ニュートラルな状態を習慣化してみると良いでしょう。

マイナス思考改善の5step:まとめ

悲しい

マイナス思考改善のための5ステップを紹介しました。ここまで読んでくださったあなたは、すでに改善に向けて歩んでいます。ステップの順番通りでなくてOKです。今日からできそうなことを、ぜひひとつ、取り組んでみてくださいね。

この記事の著者

田口 とも
田口 とも Posted on

臨床心理士・公認心理師
大学病院精神科・メンタルクリニック・私設カウンセリングルーム等にて、カウンセリング・心理検査を担当し、幅広い年齢を対象に臨床経験を積んでいる。読者様含めクライアントの皆様にすぐに大きな変化が起きずとも、安心してゆっくりじっくり取り組んでいただける”伴走者”となることがモットー。