悩み

不安症の克服、「考えすぎ」からの脱却方法

人の思考は8割がネガティブなもの

人が1日に浮かぶ思考は、6万にも及ぶと言われています。1日24時間で(寝ている時間も含めて)計算すると、1時間に2500回、1分に約40回。思考は、毎分毎秒、まるであぶくのように次々と断続的に湧いていることが分かります。そして更に、その8割を占めているのがネガティブ思考であり、9割が前の日と同じ思考(つまり同じパターンの繰り返し)であることが、脳科学の研究で分かってきました。

ネガティブな思考が8割も占めていること、しかも、それが同じパターンで繰り返されているということに、驚きます。ネガティブな思考。それは、どのように起き、繰り返され、私たちはどのような影響を受けているのでしょうか。

自動防御システム

人は、恐怖や不安を察知すると、まずは、脳を警戒態勢下にします。そして、ストレスホルモン(コルチゾールや、ドーパミン、アドレナリン)を分泌し、恐怖や不安に素早く対応できる身体に切り替えようとします。それは、例えば目の前にライオンが現れた時、呼吸を速めたり血圧を上げたりして、すぐにでも逃げるか戦えるかをできる身体の状態にしようとする反応。それは、本当によくできた、命の防衛システムです。

不安症を考える時に大切なのは、私たちはこの命の防衛システムに守られており、恐怖や不安を感じることも、排除したり責めたりする必要は無いのだと、クリアに理解することです。

恩恵と不具合

身体の自動反応は、24時間働いています。例えば、恐怖や不安を察知する他に、無意識で動いている臓器、無意識でハサミを使ったりすることができることなど、人生は、9割以上がこの自動操縦であるとも言われています。とすると、この自動操縦にただ乗っていくのが、私たちの人生でしょうか。例えば、何らかの変化を生み出したい時、私たちが自動システムに変化を生み出す手立てはないのでしょうか。

「無意識」と「意識」

「無意識」と「意識」との関係で、1つの例えがあります。

走っている車をイメージします。その時、「意識できる自分」は、車の車体、そして、運転手が「無意識」です。ハンドルもアクセルもブレーキも「無意識」が握っています。そのお陰で、「意識できる自分」は楽ができます。しかし、「意識できる自分」が、運転を変えたい時、車を止めたい時、どうしたらいいでしょうか。

もし、言葉を発することができたら、声を掛けるかもしれません。車体を揺らすことができるとしたら、揺らしてみるかもしれません。そして、それでも気づいてもらえなかったら、車を故障させるかもしれません。そうすると、運転は止まるからです。そのように「意識できる自分(車)」が出すサインを、心理学的には「症状」であると捉えます。

不安感は当然、不安症は不要

変化

不安症を考える時、その「症」とは、どのような意味なのでしょうか。コトバンクによると、「症」とは以下のようなものとされています。

  1. 病気の性質や状態
  2. 特定の症状の現れる病気

つまり、不安感が本能としての一感情であることに対し、不安「症」は病的な症状がある状態。そして、病的な症状には、頭痛や身体の痛みなど「身体的な症状」と、落ち込んだり考え過ぎて前に進めなくなるなど「精神的な症状」とがあります。

人が、「私は不安症だ」と問題視する時は不都合な症状を感じ、生活に何らかの支障をきたしている状態ではないでしょうか。そして、それは正に意識が無意識を止めることに成功した瞬間なのです。

意識が無意識にできること

人は、意図して心臓を止めようと思っても止めることはできません。髪を今すぐ10㎝伸ばそうと思っても伸びるものではありません。そういった「意図して変えられないこと」は、私たちの命にはたくさんあり、そのことは、不安症を脱却する為にとても重要です。何故なら、不安感を排除する方向性は「意図してできないこと」への労力だからです。   

「意図してできないこと」は、ただただエネルギーを消耗させます。それに対し、「意図してできること」は、確かな変化を生み出し、流れを変えます。

身体の不思議な機能

私たちの身体は9割以上が無意識下だと言われる中、意識が無意識に影響を与える特異な機能が備わっています。それは、呼吸です。

呼吸の営みは、無意識に行われています。起きている時はもちろん、寝ている時もその営みが止まることはありません。しかし一方で、意識をして息の速さを変えたり止めたりするなど、意図的に操作をすることも容易です。

呼吸に意識を集中したり深くしたりするとストレスホルモンの分泌が抑えられることと、安心ホルモン(オキシトシン)が分泌されることが分かってきました。つまり、「意識」をして呼吸をすると「無意識」の領域の状態が緩和するのです。

不安症改善への具体的な提案

瞑想

ここで、誰にでもすぐにでき、思考に影響をもたらす方法をご紹介します。

マインドフルネス呼吸法

  1.  リラックスできる姿勢で、軽く目を閉じます
  2.  吐く息は口から、吸う息は口を閉じて鼻から
  3.  出ていく息と入ってくる息を、ただただ見つめます
  4.  呼吸以外の思考が湧いたら、淡々と呼吸に意識を戻します

意識を1つのことに向けた状態(マインドフルネス)は、安心ホルモンを生み出すだけでなく、脳に休息を与えます。こういったマインドフルネス呼吸法は、毎日1分でも効果があると書かれた専門書もあります。大切なのは、一度に長時間行うより、毎日行うこと。身体(脳)は、何回も何回も繰り返すことで新しい回路ができ、新しいパターンとなるのです。

不安症をきっかけに人生が変わった私を描く

空飛ぶ蝶

不安症は、辛く苦しい経験かもしれません。しかし、チャンスだとも考えられます。何故なら、苦しみが「本気で克服したい」という願いを強め、それが命の恒常性を刺激して9割の繰り返しを変える力となるからです。「大変」という言葉は「大きく変わる」と書くように、大変の後には大きく変わった私が居ます。不安症は人生の転機なのです。

この記事の著者

Mentally 編集部
Mentally 編集部 Posted on

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