人が不安感に包まれる時、私たちの内側ではいったい何が起きているのでしょうか。この記事では、正体の見えない漠然とした不安を抱えてしまったときに心を安定させる方法を紹介します。
漠然とした不安

あなたは、漠然とした不安感が押し寄せたことがありますか?
何かショックな出来事があったわけでもない。だけど、胸の辺りがもやもやして、とてもじゃないけれど未来を肯定できない。これからの人生に期待が持てない。……そのようなとき、あなたは前向きに物事を捉えたり、自分らしさを発揮したいと意欲的になったりはできなかったでしょう。
人が不安感に包まれる時、私たちの内側で何が起きているのでしょうか。
不安とは不安「体感」に貼られたラベル
人は不安を感じると、身体に何らかの反応(変化)が現れます。
たとえば、息苦しくなったり、胸に圧迫感を感じたり、身体が硬直したりします。また、頭痛や腹痛など辛く感じる症状が伴うこともあるかもしれません。
実は、私たちは「この思考が湧いたら不安と認定する」のではなく、『不快な体感』に対して『不安感』というラベルを貼ります。つまり、不安感は不快な体感による認識です。
つまり、自分の体感に注目すれば、不安感をコントロールできるようになるのではないでしょうか。
心を安定させる方法5つ

今後も心地良くない不安感が押し寄せてくる機会はあるでしょう。きたとき、心地良い体感に変えることは可能なのでしょうか。ここではその「体感」に注目して、不安感を軽減する為にできることを5つご提案します。
心を安定させる方法①:目を閉じて呼吸瞑想をする
瞑想は、ストレスホルモンを静かにさせる安心ホルモンを分泌させます。瞑想をすることで、脳の海馬、前頭葉、扁桃体の反応だけでなく、体積までも変えることが、近年の脳科学の研究で明らかになってきました。
不安を感じたときに瞑想を行うと自分の思考に関係なく、身体(脳)が安心モードに切り替わっていきます。ここでは、簡単にできて効果が高い呼吸瞑想の方法をご紹介します。この瞑想は、不安を感じた時にも即効性を発揮しますが、日頃から習慣にすることで、より早く切り替わるようになります。
呼吸瞑想
- タイマーを5分にセットします
- 楽な姿勢で、目を閉じます。目を閉じると、それまで外に向いていた意識が、内側に向きます
- 口をすぼめて、細くゆっくりと息を吐きます。息がどのように外に出ていくのか吐く息を観察します
- 吐ききったら口を閉じ、鼻から空気が入ってくるのを感じます
- 1~4を繰り返します。ただし、人は思考が次々と浮かぶもの。どれだけ呼吸に注目しても呼吸以外のことも頭に浮かびます。そのときは、あれこれ思考が浮かぶことが当然だと認め、淡々とに呼吸に意識を戻せば大丈夫です
- タイマーが鳴ったら自分のペースでゆっくりと目を開け、瞑想を終えます
心を安定させる方法②:動作や言葉、呼吸をゆっくりにする

脳は人の行動を見て「落ち着いている」「慌てている」「ストレスを受けている」「安心している」などの判定をし、身体に指令を出します。
動作や言葉、呼吸をゆっくりすると、脳の判断に影響を与えるのです。ストレスに対処する為のホルモンの分泌の必要性を減らします。
不安体感が襲ってきたら1分間、動作や言葉、呼吸をゆっくりしてみてください。効果の大きさに驚くと思います。
心を安定させる方法③:気分転換をする
不安感が襲ってきたら、意識的な気分転換がおすすめです。
- その場から離れる
- 散歩をする
- お茶を煎れる
- 音楽を聴く
- ストレッチをする
これらの気分転換が、あなたの体感を変えてくれるでしょう。
とくに散歩は、気を『散らす』ことが語源の1つであると言われています。散歩をすると、滞った『気』の巡りが良くなることが、東洋医学で実証されています。
心を安定させる方法④:お日様に当たる

私たちの身体は、日光を浴びるとセロトニンというホルモンを分泌します。
セロトニンは、別名安心ホルモンと呼ばれるものです。不安感の元であるストレスホルモンを抑制するだけでなく、愛情を内側に満たします。毎日、お日様に当たることを、意図的に取り入れませんか。
とくに、朝日の力がより有効です。更に述べるなら、陽をおでこに当てるとより効果が大きいと言われています。
心を安定させる方法⑤:未来に楽しみなことをつくる
漠然とした不安感は、ネガティブなものに意識を向けている傾向があるというサインです。
自分に欠けていることや不十分なことに注目したり、わざわざ心配や問題を探したりする、マイナスのパターンに陥っている可能性もあります。
このパターンを変えるために効果的なのが、未来に楽しみをつくることです。たとえば、楽しみな予定を入れる、夢について考える、なりたい自分を描いてみるなどです。
人は2つのことを同時に考えることができません。楽しみやポジティブなことに目を向けているとき、あなたは不安やネガティブなことを考えることはできないのです。意図的に未来に楽しみを作れば、ネガティブな考えに陥りにくい自分に変えていくことができます。
最後に~人は変えられる~

私たちは、意図的に自分を変えられます。ここに挙げた5つの実践を、今日から始めませんか。
たとえば瞑想は、8週間の実践で脳の機能が変わり始めることが実証されています。瞑想の継続は、あなたの想像以上に不安感を軽減させてくれるでしょう。
人々が単に一日、心のトレーニングを行うことで遺伝子の活動というレベルにまで効果があった
リチャード・J・デビットソン(ハーバード大卒、心理学・精神医学の教授)
このテクニック(瞑想)の素晴らしいところは、1日あたり10分程の時間で人生を変えられることです。
アンディ・プディコム(イギリス保健医療委員会公認の臨床瞑想コンサルタント、元仏僧)