成功

注意!「努力しても無駄」の学習性無力感のままでは幸せになれない

まず、寓話『象と鎖』を紹介します。

鎖でつながれて育ったサーカスの象は、成長して鎖を引きちぎる力がついても逃げようとはしません。「この鎖はきれないもの。自分は逃げられないもの」と考えているからです。

この寓話が私たちに伝えているのは、思い込みの恐ろしさです。今、あなたが悩んでいる原因も思い込みにあるのかもしれません。

何をしても意味がない:学習性無力感

不満

心理学の世界には、学習性無力感という言葉があります。学習性無力感とは「回避困難な状況下で長期間過ごすと『何をしても意味がない』と学習して、その状況から逃げ出す努力をやめてしまう状態。この学習性無力感をわかりやすく伝えているのが、先程のサーカスの像の話です。

私たち人間も学習性無力感に陥ってしまう可能性が十分にあります。たとえば、誘拐された子供が逃げずに長年誘拐犯と生活をしていた…… そんな話を聞いたことがありませんか?

誘拐された子供が逃げない理由

「逃げられる状態なのに、どうして逃げないの?」と考える人も多いかもしれません。しかし、誘拐された直後に「逃げられない」という意識を強く植え付けられてしまうと、学習性無力感が働き、逃げようと考えること自体をやめてしまいます。

結果的に、拘束を解かれた後も誘拐された子供は逃げません。逃げられる状態でも「自分は逃げられないもの」と思い込んでいるからです。

誘拐の話に例えると、自分とは無関係のように感じる人も多いでしょう。しかし、似たようなことが、あなたの身近でたくさん起こっています。

  • DV被害から逃げない
  • ブラック企業から逃げない
  • 上司のパワハラから逃げない

これらはすべて学習性無力感が原因です。

学習性無力感が芽生えやすい環境

不安

さて、「随伴経験」という言葉があります。この言葉は「結果に結びついた行動をした経験」、もっと噛み砕いて言えば「やってみたら、うまくいった経験」を表す言葉です。

  • 鉄棒の逆上がりができた
  • 包丁でりんごの皮が剥けた
  • ピアノで「ネコふんじゃった」を弾けた

これらのような「やってみたらできた」とか「努力したらできるようになった」といった随伴経験を多く持っている人もいれば、そうではない人もいます。

随伴経験に対して「やってもうまくいかなかった経験」を非随伴経験と呼び、この非随伴経験が多い人は学習性無力感に陥りやすいのです。

随伴経験を与えられる子と与えられない子

風船

随伴経験は子供教育の世界でも使われる言葉です。随伴経験は、周囲が与えようと思えばある程度与えられるものなので、「子供たちになるべく多くの随伴経験を」と指導されることも少なくありません。

子供ができたことを一緒に喜び、褒めてあげる。大人たちのその行動が彼らの随伴経験になります。一方、やってみたらうまくいった子供に誰も反応しなかったら、その子供の随伴経験は薄いものになってしまうでしょう。

また、「やってみたらできた」の「できた」は非常に曖昧なものでもあります。包丁でりんごの皮が剥けた子供がいたとしましょう。その子を「上手に剥けたね。すごいね」と褒めてあげれば、その子供の随伴経験になります。しかし、「剥けたけど、下手だね」と言ってしまえば、非随伴経験になってしまうのです。

幼少時代に親や教師たちから非随伴経験ばかり与えられ、学習性無力感を植え付けられてしまった人は大勢います。

学習性無力感に陥るとどうなる?

疲れた

学習性無力感に陥ってしまうと「努力しても無駄」とか「何をやっても意味がない」と自分の人生を諦めてしまう傾向があります。

何かを始めるときに、成功のビジョンよりも失敗のビジョンが先に浮かんでしまう人は、学習性無力感に陥っている可能性が高いでしょう。

学習性無力感に陥ってしまうと、自分のための行動を起こしにくくなります。人から命じられたことならこなせるけれど、自分自身で行動を起こそうとはしない。もしもそうなら、学習性無力感を疑ったほうが良いです。

あなたの学習性無力感がどこで生まれたのかはわかりません。幼少の頃から植え付けられてしまったトラウマの可能性もありますし、大人になってからの環境があまり良いものではなかった可能性もあります。

学習性無力感からの脱却方法

少女

いちばん大事なのは「自分は今、学習性無力感に陥っている」と自覚することです。学習性無力感になってしまうのはけっして恥ずかしいことではありません。また、身を置く環境に影響されるものなので、あなた自身には非がないことがほとんどです。

学習性無力感に陥っていると自覚できたら次のことを試してみてください。あなたが学習性無力感から脱却するための方法です。

学習性無力感からの脱却方法①:毎日、自分のための時間を作る

学習性無力感に陥ってしまうと「どうせ……」と考える癖がついてしまい、自分で自分を大切にしなくなります。自分を大切にするために、毎日「自分のための時間」を意図的に作ってみてください。30分でも1時間でもかまいません。

「自分のための時間」は、本当に自分が好きなことをするためだけの時間です。漫画を読んで過ごしても良いですし、ただゴロゴロするだけの時間でも良いです。

毎日「自分のための時間」があるだけで、「自分の人生は自分のためにある」とあなた自身が考えやすくなります。

学習性無力感からの脱却方法②:人に話す

笑顔

悪い環境に身を置いているのに自覚がない人もいます。学習性無力感によって、劣悪な環境を「当たり前」とか「そういうもの」と思い込んでしまっているからです。

でも、その感覚が間違っている可能性も高いので、今の自分の環境を正直に人に話してみてください。「それはおかしいよ」という意見を聞けたら、あなたはもっと自分の環境を冷静に考えられるようになります。

学習性無力感からの脱却方法③:マインドフルネスを習慣化させる

学習性無力感から脱出するためには、活力が必要です。もっと自分と向き合い、活力を取り戻す方法の1つとしてマインドフルネスを紹介します。詳しいやり方は以下の記事に載っていますので、参考にしてください。マインドフルネスは個人単位で流行っているだけではなく、多くの大手企業で法人向けのマインドフルネス研修が行われているほど注目を浴びています。

自然
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まずは自分の状態を冷静に判断。そして現実を受け入れる

発芽 希望

学習性無力感に陥ってしまった原因は、あなたにはありません。あなたを取り巻く環境に責任があります。だから、恥じる必要はありませんよ。堂々と、「今の自分は学習性無力感」と認識すると良いでしょう。

「自分にかぎってそんなはずはない」と現実から目を逸らすほうが危険です。目を逸らしたままでは、改善される余地もありません。

前向きな行動に否定的な人は、一度「自分は、学習性無力感ではないか」と疑ってみてください。自分の学習性無力感を認めた上で、ここで紹介した脱却方法を継続していけばあなたの活力が戻ってくる可能性は高いです。活力が戻れば、より良い人生を歩めるようになるでしょう。

この記事の著者

Mentally 編集部
Mentally 編集部 Posted on

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