瞑想にはさまざまな効果があり、医療や福祉、ビジネスと幅広い分野で取り入れられています。一般の人の中でも瞑想を行っている人は増えてきているため、気になっている方も多いのではないでしょうか。ただ、瞑想には多くの種類が存在します。
「瞑想を始めたいけど、どれを選べばいいかわからない」「難しくない瞑想のやり方を知りたい」と思う方もいるでしょう。
そこでこの記事では、瞑想の中でも効果が高いと言われているヴィパッサナー瞑想のやり方について解説します。初心者の方でも難しくないやり方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ヴィパッサナー瞑想とは

ヴィパッサナー瞑想とは、約2,500年前にブッダによって発見されたもので、今この瞬間に起こっている物事をありのままに観察する瞑想方法です。もう一つ代表的な瞑想としてサマタ瞑想があります。サマタ瞑想は一つの集中対象を定め、それだけにひたすら集中するという瞑想方法です。
ヴィパッサナー瞑想とサマタ瞑想の大きな違いとしては、サマタ瞑想は一つのことだけに集中するのに対して、ヴィパッサナー瞑想は「不快な感覚」「雑念」「気が散ること」などをすべて受け入れて、ありとあらゆる物事を観察するという点です。
ヴィパッサナー瞑想のやり方

ヴィパッサナー瞑想のやり方を紹介します。ヴィパッサナー瞑想は「ラベリング」という思考法が重要です。そこでまずはラベリングについて知っておきましょう。それをふまえ、初心者でも難しくない3つのヴィパッサナー瞑想のやり方を厳選して解説します。
ヴィパッサナー瞑想において「ラベリング」が重要
ヴィパッサナー瞑想をする上で、重要になるのが「ラベリング」という思考法。ラベリングでは思考や感情、体の感覚、周りに起こっている物事をすべて言葉にします。実際に声を発するわけではなく、心の中で呟きます。
たとえば、瞑想中に思考や感情が湧いてきたら「〇〇のことを考えた」「〇〇と思った」と心の中で呟くのです。音や匂いを感じたら「◯◯の音」「〇〇の匂い」とラベリングを行います。
体の感覚に関しても「かゆみ」「痛み」のように自分のわかりやすい言葉でラベリングしましょう。ラベリング後は感じたことに関してそれ以上思考を巡らせないことが大切です。すぐに意識を観察対象に戻しましょう。ラベリングによって雑念に飲み込まれることが少なくなり、瞑想に集中しやすくなります。
「呼吸に意識を向ける瞑想」のやり方

まずは、瞑想の中でも基本的な座って呼吸に意識を向ける瞑想のやり方を解説します。基本的にはどこでもできますが、慣れるまではできるだけ静かな場所を選びましょう。
- 椅子や床に座って、リラックスしながら背筋を伸ばして姿勢を整える。目を閉じて、手は軽く膝の上にのせる
- 腹式呼吸で、鼻から吸って吐いてを繰り返す
- 吸っているときは、鼻に空気が入っていく感覚やお腹が膨らむ感覚に意識を向ける。吐いているときは、鼻から空気が出ていく感覚やお腹がへこむ感覚に意識を向ける
- 思考や感情などの雑念が湧いてきたら、「〇〇のことを考えている」「〇〇と感じている」とラベリングを行う。その後、再び呼吸に意識を戻す
- 周りからの音や匂い、体の痒みや不快感などを感じたときにも、それをありのままに観察する。音や匂いは「〇〇の音」「〇〇の匂い」体に現れた感覚には「痒み」「痛み」などとラベリングして、呼吸に意識を戻す
まずは5分が目安
これを繰り返し行います。最初は5分くらい続けてみましょう。慣れてきたら少しずつ時間を伸ばしてみてください。慣れないうちは5分でも長く感じますが、慣れれば30分、1時間と長い時間でも平気でできるようになります。この瞑想で大切なのは、雑念に飲み込まれないようにすることです。
瞑想中は仕事のことや残っている作業のことなど、必ず雑念が湧いてきます。このような雑念が湧いてきても深く思考をしないようにしましょう。雑念が湧いたらラベリングをして呼吸に意識を戻すことが大切です。
また、ずっと同じ姿勢で座っていると体に痒みや痛みなどが出てきますが、体を動かしたり姿勢を変えたりしないことが大切です。その感覚をありのままに観察して、ラベリングを行い意識を呼吸に戻しましょう。
「歩くことに意識を向ける瞑想」のやり方

続いては、歩きながら行う瞑想のやり方を紹介します。実際に歩くので、畳一帖分程度のスペースを確保して行ってください。
- スペースを確保し、立って姿勢を整える。目は半目にして、3メートル先の床に視線を合わせる。手前を見すぎると猫背になるので注意
- 足の裏の感覚に意識を向けて、ゆっくりと歩き出す
- 一歩一歩の動作を丁寧に味わう。「カカトが地面から離れる感覚」「つま先が上がる感覚」「足が前に移動している感覚」「足の裏が地面につく感覚」など細かく感じとる
- スペースの角に着いたら、一旦呼吸をしてから方向転換をして歩行を繰り返す
最初は2分を目安に
まずはこれを2分ほど続けてみてください。慣れてきたら5分、10分と時間を伸ばしてみましょう。この瞑想で大切なのは、できるだけゆっくりと行うことです。動きをゆっくりにすることで、一つ一つの動作で感じる感覚を観察しやすくなります。一歩の動きに10〜15秒ほど時間をかけましょう。
また、ラベリングをうまく使用するとさらに効果的です。足が着いたり離れたりする感覚を感じるたびに「着いた」「離れた」と心の中で言葉にしてみてください。
「体の感覚に意識を向ける瞑想」のやり方
続いては、体の感覚に意識を向ける瞑想のやり方を紹介します。仰向けになれるスペースを確保して行ってください。
- 仰向けになってリラックスしながら足を軽く開き、手を体の横に伸ばす。手のひらは上にして、目を閉じる
- 鼻から呼吸を行い、吸ったり吐いたりするたびにお腹が動くことを意識する。これを2〜3分ほど繰り返す
- つま先の感覚に意識を向ける。つま先に空気を送り込むようなイメージで呼吸を行い、つま先が緩んでいく感覚を観察する
- つま先と同様に、足裏→ひざ→ふくらはぎ→太もも→おしり→腰→お腹→背中→胸→肩→首→頭と、少しずつ意識を向ける箇所を移して観察を行う
- 全身に意識を向け終わったら、体全体を感じながら深呼吸を2〜3回行う。手足を動かしてから、ゆっくりと起き上がって終了
5呼吸程度を目安に行う
部位ごとに5呼吸程度を目安として行いましょう。ただ、部位によっては感覚を感じ取れない場合もあります。そのときは無理せずに「何も感じない」とラベリングをすれば大丈夫です。また、瞑想後にそのまま眠ってしまっても問題ありません。この瞑想はリラックス効果が非常に高く、寝つきが悪い人にも効果的です。
ヴィパッサナー瞑想は継続が大切

初心者でも難しくないヴィパッサナー瞑想のやり方について解説しました。まずは解説した3つのやり方の中から、自分が続けやすい瞑想を見つけてやってみましょう。瞑想は継続してこそ大きな効果を得られます。慣れないうちは継続するのが大変かもしれませんが、1日3分程度でも良いので毎日継続することが大切です。